創造過程と再生過程

今日は今年度学校支援でお世話になるY小学校へ行った。目的は校長先生のお話を伺いに行くことと、6年生のF先生の算数授業公開を参観に行くこと。
本当は先週に見に行く予定だったが、先方の都合が合わず今日になったとのことだった。
先週ならば今年お世話になる6人全員で行くところところであるが、今回はhata-sさんとの2人旅。
2年連続でお世話になる私たちにとってはとても慣れた道であった。

学校に着くと、今年度より着任された校長先生とお話をしながら支援要請について伺い、話もそこそこに授業時間となり、授業へ向かう。

6年教室にはちょっと大きくなった子どもたちと相変わらずのパワフルでいて、朗らかなF先生とのご対面。「久しぶり〜。元気だった?」と授業前なのにF先生が陽気に話しかけてくれた。

それにしても、教室は暑い。子どもたちはびっしょりと汗をかいている。
いやがおうにも現場の空気を感じる。

授業が始まった。導入では既習の図形の面積の公式をT-C→C-C間で記憶の再生活動を行い、展開に入る。

今日の主発問は「円を変形した形から、円の面積を考えましょう。」という円の面積を既習の図形の面積の公式から等積変形を行うという授業。
前時で子どもたちは円を16等分して、三角形や平行四辺形、台形をつくっており、今日はその図形からの等積変形であった。

個人思考ではほぼ全滅。円の面積まで個人の力で導ける子はいなかった。
そこで、F先生はペアで行うように指示をしてペア活動へと変化していった。

・今の時点で自分ができているところ
・どこが分かってないか

を互いに話し合う。話をしながら少しずつ考えが深まってきた。
互いの持ち寄ったパーツを
組み合わせるペアもあれば、相手に説明しながら自らの考えをメタ認知するペアなどやり方は子どもたちに任されていた。
しかし、これでも解答にたどり着けない班が多かった。

そこで、今度は3〜4人組になって互いで意見を出し合い円の半径までの道筋を探っていった。ここからが「チーム学習」の初めの課題(創造過程)であったろうと思う。
「みんなで、円を変形した形から、円の面積を考えましょう。」
子どもたちはところどころであーでもない、こーでもないと言いながらかなり苦戦していた。

私は、一番前で台形から等積変形をするグループ(3人)の様子をじっくりと観察していた。
初めは「あ〜分かんねぇ。」と言いながらも「これってさ〜、ここ(上底)とここ(下底)を足すと円周の半分になるよね〜。」などと言いながら試行錯誤を繰り返しているうちに、Y男君が突然「俺分かっちゃったかも。」と言って解答を書きはじめた。それを見ていた。N子は「半径ってことは円周×3.14÷2だけど、先に円周÷2にしないと半径が出ないよ。」と指摘。すると、Y男もそれに呼応するように「あぁ、そういうことか。」と言いながらみるみるうちにチーム課題のゴールまでたどり着いたのだ。

「なるほどね。」「間違って、円周を求めていたよ。」という声が聞こえる。満足している子どもたちのところにF先生がやってきて、子どもたちに説明を求めたのでY男とN子で説明する。
それを聞いたF先生は「やったぁ。できたじゃん。」と子どもたちの頑張りを認めつつ、「じゃこれをグループの全員が説明できるようにしてね。」と次なる課題を与える。
ここが2つ目のチーム課題になる(再生過程)

ここまで長く読んでくれた方ならお気づきかと思うが、3人のグループなのに名前が出てこないK男くんがいたことを…。彼は一つ目の話し合いにはほとんど声を出さなかった…というより、出せなかったと言うべきか…。それでも、Y男とN子のやりとりにじっと耳を傾けていた。
1つ目の課題は、それでもいいが「全員が説明できるようにする」と言うことは彼も説明できなければならない。そこで、3人が取った行動は、一人一人が残る2人に説明していき、その説明で意味が通るかを聞きいていた。まさにこの瞬間は再生過程の共有が行われていた。

つまり、この授業では創造過程と再生過程が同じ活動の中で、チーム課題が変わることで変化した形になったということである。これには目の前で見ていた私自身が驚いた。

明らかに昨年度よりも上手に交流型学習を展開する子どもたち。そして、難なくそれを使いこなすF先生。支援後1年弱でここまで進化していると思わず本当にすごいなと思った。

算数の思考過程における練り上げの場面を目の当たりにできたことだけで今日は学ぶことがたくさんある授業であった。自分たちが支援でどれだけお役立てるか分からないが一生懸命やろうと思う。